黒部の秘境・下ノ廊下と紅葉を見に《前編》(2016.10)
(2020.5.9更新: https化に伴い、古いAmazonへのリンクを削除しました)
こんにちは。
10月は赤城山日帰りや戦場ヶ原ハイキングなども行ってきましたが、以前から気になっていた「下ノ廊下」へ行ってきました。
下ノ廊下は日本三大渓谷、日本の秘境百選の一つにも挙げられている黒部峡谷の核心部であり、黒部ダム〜仙人ダム区間の旧日電歩道および仙人ダム〜欅平区間の水平歩道からなる、約30kmの区間です。
ルートは下記の赤いライン。
今回は、黒部ダムから黒部峡谷鉄道の終点である欅平へ向かって歩くルートを歩いてみました。下流へ向かって歩くルートなのですが、もともとダム建設のために作られたルートのため、多くは標高約1,000mあたりをキープするように、黒部峡谷の断崖にルートがつけられています。
もともとダムを開発した日本電力から受け継いだ関西電力が、条件としてこのルートを整備することを義務づけられたそうで、毎年残雪が消えルートが整備される9月下旬から積雪が始まる11月初旬までの限られた期間しか通行できない秘境的なルートです。年によっては、雪の多さその他で通行できない年もあるほど。
この記事では、下ノ廊下の上部にあたる旧日電歩道区間から途中にある阿曽原温泉までの区画についてご紹介いたします。その先は後編で。
この旧日電歩道についてはWikipediaの説明を参照ください。
10月29日の夜、新宿から御用達のさわやか信州号で扇沢へ。
早朝5時半すぎには黒部立山アルペンルートの入口、扇沢駅へ到着します。
お盆など特定日には6:30の始発があるのですが、この日は7:30です。約2時間待つ必要があります。最初は薄暗いベンチにおりましたが…
しばらくすると職員や納品業者らしき人たちが出入りし始め、乗り場への階段を上がってみると暖房の効いたロビーのベンチで待つことができました。
切符販売開始時間に1階へ戻り、無事始発の乗車券をゲット。
ちょっと写真がブレてますが・・・20〜30人ほど始発待ちです。
その間、おもろい名物駅員さんが前日の残りのお弁当を叩き売りしておりました。朝早くから楽しませてもらいました。
(ナニコレ珍百景でも珍百景認定されていたようで。Youtubeで見られます)
日本で2箇所しかないトロリーバスに乗り込みます。
出発してすぐ関電トンネルに入り、「黒部の太陽」で有名な破砕帯を通ります。前方の青いライトが点灯しているところです。
黒部ダム駅に到着。黒部ダム方面ではなく、登山者用の出口へ向かいます。
お手洗いの横を通り、外へ出ます。
坑道の半分が埋められたような出口ですが…
いきなり目の前に山々が!そして上のほうが白い。
他の登山者と下っていきます。
旧日電歩道への小さい看板。
下りきると、黒部川を渡ります。
上流側を見ると、黒部ダムの堤体が見えます。観光放水はこの季節はもう終わっていて、そもそもこんな朝早くにはやっていないのですが。。。
ここからエスケープルートのないコースを進んでいきます。
落差のある滝です。アクセスしやすければ名所になっていそう。
コントラストが綺麗です。
ここは、内蔵助谷方面との分岐です。剱岳・立山方面への登山道が伸びています。
エメラルドグリーンになっています。
少しずつこんなところを歩きます。
木道は少し傾いていて怖いです。手すり代わりの太い針金を頼りにして進みます。
途中、高巻きになっているところもあります。きっと、毎年雪崩で壊れ、そして作り直しているのでしょう。
本当にすごい谷です。
そして一直線に刻まれた日電歩道。
ところどころスリリングな場所が続きます。
十字峡に到着。3方向から川が合流します。
十字峡にかかる吊橋。
谷はその深さを増していきます。
半月峡。オーバーハングしています
遠くに大きな人工物が見えてきました。
どう考えても濡れます。
黒部ダムの黒四発電所がこの地下にあり、発電された電気の送電線がここから伸びています。
そういえば、プロジェクトXのテーマを歌ったということで、中島みゆきが紅白でこの発電所から中継していましたね。脳内では「地上の星」がエンドレス再生モードに。
遠くから見ると、山奥に急に現れた遺跡のようです。
吊橋を渡ります。
吊橋から少し歩くと、仙人谷ダムが見えてきました。ここまでが旧日電歩道の区間。
登山者用の通路があります。
登山者向けの案内板。ダム施設の中を通っていきます。
上は、黒部峡谷鉄道から続く、関西電力黒部専用鉄道。
下には発電用の太いパイプ。
ここからお邪魔します。
案内板に従い通行します。
ちょっとしたダンジョン気分。
先ほど見えた橋に着きました。この先に仙人谷駅があります。もちろん普段乗れるのは関係者のみ。
反対側はトンネルになっており、奥から蒸し暑い空気が流れてきます。
ここは「高熱隧道」と呼ばれる区間で、工事当初は岩盤の温度が160℃以上になり、ダイナマイトが暴発、たくさんの殉死者を出したところです。現在は水で冷やすなどして40℃程度となっているとのこと。それでも暑さが伝わってきます。
さらに案内に従い進みます。
外へ出ると関電の職員宿舎があります。ドアは雪対策なのか板が打ち付けられています。
ここまでくればもう直ぐで阿曽原温泉のはずですが、急に標高差100mほどの登りが待ち構えていました。登りがほとんど無かったせいか、脚が攣りそうになります。
トンネルをくぐります。
入ってすぐに丸太を組まれた空間が。
最後にもう一度下ると、阿曽原温泉小屋に到着です。
翌朝の写真ですが、上部に山小屋、下にテン場が広がっています。
水場とトイレもあります。
温泉はここから5分ほど下ったところにあります。高熱隧道から引湯しているようです。
夜、オリオン座が見えました。
テン場の横には坑道があり、夜には明かりが漏れていました。
阿曽原温泉小屋テン場の夜 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
エスケープルートもなく、滑落事故などがよく発生しているルートですので、くれぐれも自らの体力を把握し、またルートの通行状況を調べるなど、十分な準備の上で自己責任で挑んでください。
後編へ続きます。
《今回の撮影機材》
・GoPro HERO Session